膝枕。世のカップルが、こぞって寝づらい格好をしたがる理由が分からなかった。
快適さを求めるなら断然、普通に枕で寝るだろう。
だが最近は、膝枕も悪くないと思うようになっていた。
畳に寝転がって彼女のやわい太ももに頭を乗せれば、彼女は驚いたように目を丸くした。
脂肪分の多い女性は、筋肉質な成人男性と違って太腿が柔らかい。
なるほど。男と女でこんなにも肉つきが違うのか。それは雲雀の頭の重さを受け止めて、ふにっと柔らかく変形する。
「…ふふ」
「さっきから何笑ってるの」
口元を緩ませて笑いを噛み殺している彼女を咎めると、彼女は目を細めてニコニコしたまま、どこか楽しそうに口を開いた。
「だって恭弥さん…ごろんって、ふてぶてしく寝るから……なんか猫みたいだなぁって」
そんなに可笑しかったのか、くすくす笑いながら途切れ途切れに言うものだから、こちらとしては気分が良くない。仕返しにと腕を持ち上げて、額を強くバチンと弾いてやった。
彼女は痛そうに顔をしかめて、赤くなった額を擦る。そして、真っ直ぐに見上げる雲雀の視線に気付き、照れ臭そうに小さく笑った。
無言で見つめれば、彼女もそれに応えてくれる。穏やかに笑って、ゆっくりと撫でるように雲雀の髪を梳く。このひと時が、僕は好きだ。
「恭弥さん最近、膝枕好きですよね」
「どうかな」
「もっと甘えてくれてもいいんですよ」
甘える?これは甘える行為なのか。……否定はできない。
なによりも、彼女が僕を受け入れているという事実が、心地よかったから。
彼女の体温と柔らかさに包まれながら、恋人の緩みっぱなしの顔を眺めていた。
君がそんなに嬉しそうに笑うなら、また膝枕でもされてあげようか。